2009年01月23日

塗り薬の使い方や違いについて

 過去に痛み止めのお薬でゼリー状のお薬(例:ボルタレンゲル)や軟膏についての使用法について紹介したことがありました。 今回は軟膏やクリームなど一般的な違いについて紹介していきたいと思います。

 まず種類に関してですが、主には軟膏、クリーム、ローションの3種類に分かれます。 

軟膏… 基剤に保湿作用があるので、皮膚を柔らかくする作用、病巣を覆って保護する作用、肉芽形成作用が期待できます。皮膚刺激作用も弱いのですが、主薬(いわゆる主成分)の吸収が悪く分泌物の吸収が悪い、夏場などはべとつくなどの欠点もあります。 

クリーム… お薬の配合がよい、ベトベトしない、皮膚を冷却するなどの作用があります。吸収もよく、水で洗い流すこともできます。 

ローション… 少量で広い範囲に延ばせます。カサブタや亀裂などの損傷部位にも適応しやすく、毛髪部位にも使用することができます。使用感がよく、冷却作用もありますが、皮膚への刺激作用が強く、保湿作用が弱い点が挙げられます。 

 

 ところで、特に空気が乾燥する季節では、肌の保湿が大事になります。なので今回は保湿剤についても少し紹介しておきましょう。保湿剤は皮膚の潤いを保ち、バリア機能を補強する効果があります。皮膚の表面に脂の膜を作って水分を閉じ込めるタイプと、水と結合して肌のうるおいを保つタイプがあります。ただし、赤みやかゆみを抑える働きはありません。 

種類

白色ワセリン
脂の膜をつくって皮膚から水分が逃げないように密封する働きがあります。塗っているうちに体の中から皮膚に水分が補給され保湿できます。軟らかくて、より純度が高い眼科用のワセリンもあります。

ヘパリン類似物質(例;ヒルドイドなど)

水分と結合し、これを逃さないことで保湿します。

尿素軟膏尿素(例;ウレパール、パスタロン、ケラチナミン)

水分を保持する作用があります。ただし、乾燥が強いところや傷のあるところに塗るとヒリヒリすることがあります。

ビタミンA含有軟膏
カサカサをおさえることで保湿します。

亜鉛華嘆軟膏
昔からある代表的な保湿剤です。他の薬剤を塗った上に重ね塗りして使われることが多いようです

塗り方
乾燥しているところに少しずつ薬をのせて、手のひらでスッと伸ばしてください。すり込むように塗る必要はありません。皮膚のシワの方向に沿って塗れば皮膚への刺激を減らすことができます。たとえば背中の場合、背骨と直角方向に塗ってください。
 また、先に手にとってから塗ると手の保湿に使われてします、患部に十分な量の薬がいきわたりません。
 

塗る回数
 123回塗ってください。とくに、ヘパリン類似物質や尿素軟膏は水分を結合することで保湿効果を発揮します。肌が乾燥しているときに塗っても、皮膚に含まれる水分が少ないので十分な効果が得られません。水分をたっぷり含んだ入浴後や手を洗った後などに塗れば、保湿成分もしみこみやすく保湿効果が上がります。ただし、入浴後は皮脂膜が取れて水分が逃げやすくなっています。入浴後10分以内に塗るようにしましょう。
 乾燥した部位に霧吹きで水を吹きかけてから塗るのも効果的です。

塗る期間
 一定期間塗り続ける必要があります。乾燥肌がおさまれば塗る回数を減らしたり、中止してもかまいません。冬に肌が乾燥する方は、秋から保湿剤を塗っておけば乾燥肌の予防になります。

〇副作用
 まれに、ヒリヒリしたり赤くなったりすることがあります。そのときは塗るのを中止して受診してください。  

ガラリと話は変わりますが、保湿といえば、皮膚疾患で多くの方が悪戦苦闘しているアトピー性皮膚炎では大変重要な要素となります。

アトピー性皮膚炎の場合のお薬について

アトピー性皮膚炎はなぜおきる?

@  乾燥肌の素因がある
 アトピー性皮膚炎では、皮膚の表面を覆う皮脂膜の働きが弱いために皮膚の水分が蒸発しやすい乾燥肌の体質があります。

A   敏感肌
 乾燥肌になると、汗や汚れなどの様々な刺激や、ダニなどのアレルゲンが皮膚の表面を通過しやすく、それらによる皮膚炎を起こしやすくなります。敏感肌となります。

B   湿疹の反復と悪化を繰り返します
 一度皮膚炎が起きると、その部分の皮膚はこれまでなら大丈夫だった衣類との摩擦など、より軽微な刺激にますます敏感に反応して、一段と皮膚炎を起こしやすくなったり、痒いところをひっかくことで皮膚炎がさらに悪化したり、範囲が広がったり、といった悪循環が起こり、皮膚炎が慢性化して治りにくくなっていきます。 

 

アトピー性皮膚炎の軟膏治療

@    湿 剤
 アトピー性皮膚炎の対する塗り薬の主役は、皮膚に脂分と水分を補って乾燥肌にうるおいを与え、皮膚炎を予防する保湿剤です。

A     ステロイド剤(ロコイド軟膏、リンデロン軟膏など) 免疫抑制剤(プロトピック)
 皮膚の炎症を鎮圧することで、無用な皮膚の過敏さとかゆみを減らして皮膚炎を改善させると共に、皮膚炎を悪化させる要因を減らすステロイド剤、免疫抑制剤も主役です。

B     亜鉛華単軟膏
 普通に塗っていてもなかなか治らない慢性化した皮疹やジクジクした皮疹には、ステロイド軟膏を塗ったあとに、亜鉛華単軟膏を重ね塗りすると効果的です

軟膏の塗り方の実際

ちょっとした質問形式にしてみました。

「いつ、何回塗りますか」
風呂上がり数分以内に、1日1回塗ります。1日1回が基本ですが治りにくい場合は、1日に2から3回塗ることがあります。

 

「なにを塗りますか」
@ 先ず、保湿剤を全身に塗ります。悪化している部位にステロイド剤または プロトピックを重ね塗りします。鳥肌のようにざらざらした部位は軽い皮膚炎なので、弱いステロイドをぬります。固くごわごわした部位は薬の吸収が悪いので、強いステロイドを使います。
 普通の治療ではなかなか治らない部位や、ジクジクした湿疹の部位にはステロイドの上に亜鉛華単軟膏を重ね塗りをします。プロトピックは顔や首の病変に有効です。
 

A 保湿剤とステロイド軟こうが混合された塗り薬が処方されることもよくありま す。この場合も混合された塗り薬を全身に塗ります。重ね塗りの手間が省け、短時間で塗ることができます。治療の継続が容易です。

 

「どのように塗りますか」

 これは保湿剤もステロイドなども同様ですが、皮膚のしわの方向に沿って、皮膚の流れの方向に塗ります。擦り込む必要はなく、指や手のひらで薄くのばすようにします。軟膏やクリームの塗り方で最も一般的なものは、単純塗布法と云い、指の腹で薄く塗り広げる方法です。他にじくじくしている患部に使う重層法(重ね塗り)、比較的重症時に使う密封療法(塗った後にサランラップを貼り付け吸収をよくする方法)などがあります。
 ステロイドの塗り薬は「あまり擦り込まずに薄く塗る」のが一般的。一方、筋肉痛などの痛み止めの塗り薬は「しっかりと擦り込むほうが効果的」です。やけどなどの保護には「少し厚く塗ったほうが良い」薬もあります。塗る量は軟膏なら少しテカテカする程度、クリームなら白い色が消える程度。目安としてチューブから5mm出すと、直径5cm位の円の範囲を塗れます。1回で大量に出さず少しずつ取り、足りなければもう一度取るようにしましょう。
 使用の際は、まず患部の汚れ(汗、ホコリなど)を取り除き、手洗い後の清潔な手指で塗って下さい。また、塗った後の手指に薬が残っていると、そこから薬の成分が吸収され副作用の原因にもなるので必ず使用後には手洗いして下さい。


 

「どれくらいの期間塗りますか」
 皮膚の湿疹が完全になくなるまで、2週間以上つづけます。皮膚の赤みやかゆみがなくなっても炎症が治まっていない場合があります。炎症が治まっていない時に軟膏を塗るのをやめると、湿疹がすぐに再発します。
 皮膚を触った時に盛り上がっているプツプツが完全になくなるまで続けます。健康な皮膚と触感が同じになるまで続けます。

 

「どれくらいの量を塗りますか」
 十分な量を使用しないと皮膚の炎症が完全に収まらず、再発したり難治性になることがあります。成人の人差し指の指腹側の末節部の長さに絞り出した量を1Finger. Tip Unit(1FTU)と呼びますが、1FTUの軟膏を大人の手のひら2枚分の面積に塗りましょう。
 

「よくなった状態を維持するには」
 ステロイドは使用せず、保湿剤を用いてスキンケアをします。保湿剤は皮膚の健康を守るサプリメントととらえて積極的に使用してください

「軟膏はいつまで使える?」

 しょうゆと同じように軟膏も、開封すると変性します。空気、光、温度、湿度、微生物が品質に影響を与えます。有効成分が分解されたり、細菌で汚染されることもあります。容器に書いてある使用期限は「開封する前の期限」です。開封した後の期限は、保管が良ければ612か月です。チューブの先に指をつける、キャップに軟膏がたまっている、部屋に置いたままなどなどは、劣化が早いので、3か月くらいを目安に処分してしまいましょう。軟膏は診察時の皮ふ病に対して、症状の程度・治療歴・部位・年齢・季節などを考慮して処方しています。余った薬を保存して使うのはお勧めできません。
 

悪化させないための日常生活の心得

 悪化因子として、春や秋の花粉、夏の発汗や細菌感染、冬の乾燥、化粧品,感冒や疲労、精神的ストレス,破癖などがあげられます。これらの悪化因子を避け対処するライフスタイルを心がけることが大切です。

 

以上を守りながら、きちんとしたスキンケアをしていきましょう。

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